Beyond the Silence

Sound of Science

2年間の研究留学を終えて帰国しました

前回記事と話が若干前後するが、2年間の研究留学を終えて帰国した。

 

研究

成果としては筆頭著者 (の1人)として論文1報 (PLoS One), 共著者 (3rd author)として論文1報 (Sci. Rep.)をPublish. IF的には10くらい増えた感じ。あと2つ書く予定で、うち1つは執筆の最終段階に入っていて、もう1つは年内に投稿予定。

 

正直、時間は全然足りなかった。せめてあと1年、いや半年でもあれば、未出版の2つをもっといいデータで形にできたかもしれない。最初の2報は実験技術として元々自分が持っていたものを、ラボで既に走っていたテーマに加えたものなので、そこまで時間を要しなかったが、こちらにきて新たに習得した技術で一定のものを形にするには、技術をモノにしてから2年は欲しかった。

最後の2週間は、最初からそうしておけば良かったのではないか、と思うくらい実験に没頭した。本来ならもっと前に出ていたはずのデータ。実験にトラブルがあってようやく解決したのがこのタイミングだったのもある。家族には迷惑をかけたが、この2週間で出したものが3報目の論文の主要なデータになるので、できるだけ早く形にしたい。

 

ボスからは、PIとポスドクとしての関係はこれで終わりだが、研究仲間としての、メンター・メンティーとしての関係はこれからも続く旨の言葉をもらった。データには厳しかったが、自分の聴覚障害にも配慮してくれ、暖かい環境で仕事ができた。感謝の気持ちしかない。

 

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最後の数週間は、お土産を買ったり、もう一度訪れておきたい場所に行ったりした (それも半分くらいしか叶わなかったが)。たくさんの人たちに送別の場を設けてもらい、自分がこの2年間、(自分が見送ってきた人たちも含めて)いかに多くの人に助けられてきたかということを感じ、目頭が熱くなった。これは汗に違いない。

留学中に出会った仲間は一生の付き合いになる、と、留学前に先輩から聞いていたが、そう思える出会いが数多くあったことも、この2年間の財産になった。

 

 

生活

の面では、日本人のコミュニティもあったし、最近は全部ネットで完結するので、英語が苦手なこと・耳が悪いことをあまり意識せずに済んだが、確認の電話とかは時々妻に代わってもらったりしていた。結局最後まで電話は苦手だった。長く住んでいる友人に聞いたところ、3年目くらいからようやく電話の苦手意識がなくなった、とのことだった。「健聴者+英語をちゃんと勉強してきた」人でそれなので、自分にはハードルが高い部分はあった。英語は留学前からちゃんと勉強しておくべきだと思う。聴き取れなくてもせめて文法くらいは・・・。

 

食事

については近くに韓国系のスーパーがあって日本の食材もある程度手に入ったので (値段は2〜3倍だが)、細かいことは抜きにして日本と同じ食環境で過ごすことができた。妻に感謝。自分自身も、料理する機会がそれなりにあったので、日本にいた頃からすると格段に料理の腕が上がった。食生活が日本的だったのとストレス負荷もあって体重は増えなかった。

 

 

引っ越し

は相変わらずのバタバタで (前日、前々日の夜に飲んだくれていたのがいけなかったのかw)、当日の朝に荷造りが完了した。実験がハードな時期から続く連日の3時間睡眠で、何とか乗り切った。コンドミニアムのオーナー (NY州在住、年齢不詳だが彼がまたとてつもなくいい人で、何度も助けてもらった)が、不用品の処分は自分がやっておくから荷造りを優先させろと言ってくれたので、思いっきりお言葉に甘えさせてもらった。NYに行くことがあったらまた会いたいと思う。うちの上の子よりもひとつ年上の子がいるのだが、本当何歳なんだろうか。

 

 

出発の日の朝、オーナーに鍵を返し、予約していたリムジンタクシーに乗り込んだ。特大スーツケース 30kg x2, 20kg x1、ストローラー、子供2人の大荷物だったので事前に予約していて正解。この街は良かったかい、と運転手さんに聞かれ、最高だったと答えた。

 

 

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前回記事から写真再掲。

 

 

空港

ではCheck-in Assistantの長蛇の列に並ぶ。出発の3時間半前に着いたのでかなり時間にゆとりがあった。前回のロッキー旅行の際は3時間前到着でギリギリだったので、あれは結果的に良い予行演習になった。受託手荷物のうち2つが重量オーバーで、2つで100ドルの超過料金を取られた。

2歳以下の幼児連れだといろいろな所で優遇されるのは有り難かった。ファストセキュリティレーンを通って搭乗手続きを済ませた。このゲートをくぐる人々を見送ってきたが、自分が通るときはどんな心境だろうとずっと思っていた。晴れやかで未練たっぷりの、この日の空のような気持ちだった。

 

 

帰りの飛行機はB社の787-9. ロッキー旅行の帰り便と同じ機材だがエコノミーはかなり狭い。トイレ前の座席3つをおさえていたが、事前予想に反して機内はガラガラだったので、CAに配慮頂いてF, G, I, J, Kの5席を使わせてもらった。幼児連れ、内1人は膝上なので助かった。次回海外旅行するときは、頑張ってマイレージ貯めてアップグレードしたいものだ。

 

空路は途中までは順調だったが。。

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なんかやたら西寄りのルート・・・。

 

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160820-00010003-wmap-soci より

 

なんじゃこりゃーーーーーー!!

 

という事態になっていたのだった。よくこんな状況で離陸したな。機内がガラガラだった理由がこれか。。

 

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飛行機はこんな感じで、関空にダイバートすることに。

 

日本時間午後4時半頃関空に着陸し、6時頃に成田へ再出発。各地から戻ってきた飛行機が列をなしており成田上空から着陸まで30分。入国審査は未曾有の長蛇の列。地上職員の整理が追いつかないほどの大混乱。入国審査パスまで2時間。当日の国内線は全て欠航で、その日のうちに帰れないという事態に。

ニュースとかでよくみていた、他人事だと思っていたあの光景が、まさか自分達に降りかかるとは。関空に着陸した時点で父にホテルを押さえてもらったので、何とか宿のない状態にはならなかったが、今度はタクシーが全くつかまらない。大荷物なので普通のタクシーには乗れないため、急遽スーツケースを空港宅配で自宅配送することにした。それにしてもこの災害の中でも九州まで3日で届く日本の物流凄い。

 

電話しても電話してもタクシーがつかまらないため、諦めてタクシー乗り場の列に並ぶ。成田の立地の悪さも手伝って空港タクシーも少なく、2時間半待ってようやく乗り、千葉市内のホテルに着いた時には午前3時をまわっていた。連日3時間睡眠の我々は限界に達していたが、子供2人が時差ボケのため元気だったのがせめてもの救い。

こういうときのホテルやタクシーって、プラチナカードのコンシェルジュサービスがあればもっと簡単に見つかったんだろうな、と思うと、留学前に何か年会費の安いカードを作っておけば良かったと後悔。プライオリティパスがあればラウンジも使えるし。。もっと言えば、JGCやSFC (JAL, ANAの上級会員)になっていれば欠航後の振替便で優遇されるだろうし安心感が違うだろう。可能ならば留学前に、こういう世界を知っていれば良かった。

www.aurora3373.net


 

欠航後の翌日振替便は、空港で渡された電話番号もしくは朝8時にOpenする航空会社カウンターで自分で予約しなければならず、子連れ+大荷物で混乱した空港の長蛇の列に並ぶことは不可能と判断してWebで翌日の航空券を購入した。航空会社からはホテル代として4万5千円が支給されたが、タクシー代 (成田〜千葉市内で夜間15,000円、千葉市内〜羽田 2万円)だけでほとんど吹っ飛んだ。

 

翌朝、初のアクアラインを経由して羽田空港へ。3時にホテルについて6時半出発というハードスケジュール。空港で普通のチェックインカウンターに並ぼうとしていると、ベビーカー等を預けるための専用の窓口があることを教えてもらった。

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ANAはここ

 

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JALはここ

 

JALは6時半発の便しかあいておらず、今回はANAを利用した。チェックインの列に並ばなくてもよく、受託手荷物預かり、ベビーカー貸し出しのサービスもあり、子連れでも安心して旅行ができる体制になっている。国内線の飛行機は無事に飛び、昼過ぎに福岡空港に到着した。

帰国時のトラブルに際して思ったが、成田空港は、外国人にとってはかなり利用しづらいのではないか。特にこうした災害時、言葉やその国の慣習がわからない状況だと、そのストレスは自分達が受けたそれの数倍になるだろう。日本という国が良い国であるのは疑わないが、それは日本語を理解できる日本人に対してだけのような気がしてならない (諸外国もそれは同じかもしれないけど)。

もう一度書くが、最大限の安心を手に入れるためにも、航空会社の上級会員 and/or コンシェルジュサービスのあるクレジットカードを、海外長期滞在前に入手するべきであった。

 

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羽田ではまぐろ丼+ざるそばのセット、この後に立ち食い寿司も食べた。

 

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福岡ではトンカツ。食事の美味しさは段違い。そして物価が安い!

 

まだ帰国して数日だが、いろいろな文化・慣習の違いを感じて若干のアウェイ感を味わっているところ。4時に目が覚めてしまったので、この記事をupしたら論文の図表をupdateしたい (順番が逆だろ)。長くなったので、日本と外国の違いについて感じたことは、次の記事に書きたいと思う。

 

ただいま日本!